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物性物理学:電子顕微鏡法によって画像化された単一欠陥フォノン
Nature 589, 7840 doi: 10.1038/s41586-020-03049-y
結晶欠陥は、フォノンを散乱させたりフォノンスペクトルを変化させたりすることで物質の熱的特性や熱輸送特性に影響を及ぼす。従って、固体の欠陥が熱伝導率や熱拡散率にどのような影響を及ぼすかを正しく評価するには、フォノン–欠陥相互作用を理解することが不可欠である。そうした相互作用を探るのに精巧な理論を利用できるが、大半の分光学的フォノン検出方法では、個々の欠陥近傍の局所振動スペクトルを分解するのに必要な高い空間分解能が得られないため、実験的検証には限界がある。今回我々は、透過型電子顕微鏡における空間・角度分解振動分光法によって、個々の結晶欠陥の振動スペクトルのマッピングが可能になることを実証する。我々は、立方晶炭化ケイ素において、単一積層欠陥近傍の音響振動モードのエネルギーの数ミリ電子ボルトの赤方偏移と、それらの振動モードの強度の大幅な変化を検出するとともに、これらの変化が積層欠陥の数ナノメートル以内に限定されていることを見いだした。今回の観察結果は、最先端の透過型電子顕微鏡には欠陥周囲のフォノン伝播の直接マッピングへの道を開く能力が備わっていることを明らかにしており、それによって、物質の熱的特性の設計に有用な指針が得られると予想される。

