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神経科学:NAD+を介した神経変性促進性SARM1の自己抑制機構
Nature 588, 7839 doi: 10.1038/s41586-020-2862-z
軸索の病理学的変性は、神経回路を破壊する、神経変性の代表的な特徴の1つである。SARM1(Sterile alpha and Toll/interleukin-1 receptor motif-containing protein 1)は、この神経変性過程の中心的調節因子であり、そのTIR(Toll/interleukin-1 receptor)ドメインは、NADアーゼ活性を介して神経変性促進作用を発揮する。しかし、SARM1の活性化を厳密に制御している機構については不明である。今回我々は、完全長SARM1タンパク質のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。この結果から、NAD+が、SARM1のARM(armadillo/heat repeat motif)ドメインの予想外のリガンドであることが分かった。NAD+とARMドメインのこの結合は、ドメインの界面を介してTIRドメインのNADアーゼの抑制を促した。NAD+結合部位、あるいはARM–TIR相互作用を破壊すると、SARM1の構成的活性化が引き起こされ、その結果、軸索変性が起こった。これらの知見は、この中心的な神経変性促進性タンパク質の自己抑制は、NAD+によって仲介されることを示唆している。

