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生物地球化学:湿地の保護と回復による米国の硝酸塩除去の最大化
Nature 588, 7839 doi: 10.1038/s41586-020-03042-5
人口の増加と農業の集約化は、河川の窒素(N)負荷の増大、沿岸域での酸素の枯渇(沿岸の低酸素状態)の拡大、藻類ブルームの発生率の上昇をもたらしてきた。最近の研究で、個々の湿地に水質を改善する可能性があることが示唆されているが、景観規模での湿地のN除去が現在どれほどの大きさなのかはほとんど分かっていない。今回我々は、米国の国内湿地目録(National Wetland Inventory)のデータと5 kmグリッドスケールのNの流入量と流出量の推定値を用いて、米国の湿地による現在のN除去(年間約860 ± 160キロトンの窒素)が、湿地密度の高い地域とNのホットスポットが空間的に分断されているために制限されていることを示す。今回のモデルシミュレーション結果は、米国の湿地面積を、空間的に的を絞って10%(510万ha)増やすと、湿地のN除去が2倍になると思われることを示唆している。この増加によって、ミシシッピ川流域などの硝酸塩の影響を受けている流域のN負荷は54%減少すると見積もられた。こうした湿地面積の増大に必要なコストは、米国全体で年間約33億ドルに上ると考えられ、これは開墾されていない非農耕地の湿地を回復するコストの約2倍に相当するが、Nの除去は約40倍増大すると予想される。今回の結果は、湿地の回復と保護に関する政策を策定する際には、水質の改善だけでなく、洪水制御、魚類や野生生物の生息地などの他の種類の生態系サービスも考慮すべきであることを示唆している。

