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原子物理学:極低温原子を用いて実現された、調整可能なハイゼンベルク模型におけるスピン輸送
Nature 588, 7838 doi: 10.1038/s41586-020-3033-y
相互作用するスピンの単純なモデル(模型)は、物理学で重要な役割を果たしてきた。こうした模型は、多くの磁性材料の特性を捉えているだけでなく、格子内のボソンやフェルミオン、ゲージ理論、高温超伝導体、量子スピン液体、エニオンやマヨラナフェルミオンといったエキゾチックな粒子を伴う系など、他の系にも拡張されている。こうした模型を検討し比較するには、汎用性のあるプラットフォームが必要である。そうした系の実現は、極低温原子の分野における長年の目標である。これまでのところ、スピン輸送が研究されているのは、等方的なスピン–スピン相互作用を伴う系だけである。今回我々は、最近接スピン–スピン結合の異方性を完全に調整できる、格子上のスピンを記述するハイゼンベルク模型(XXZ模型と呼ばれる)を実現したことを報告する。我々はこの模型において、量子クエンチ後の平衡から大きく外れたスピン輸送を、転写されたスピンらせんパターンから調べた。その結果、とり得る3つの配向のうち2つに沿ってのみスピンが結合する場合(XX模型)は、スピンダイナミクスのバリスティックな挙動が見られるのに対し、等方的な相互作用(XXX模型)では拡散的挙動が見られることが分かった。より一般的には、正の異方性では、このダイナミクスが異常な超拡散から亜拡散までさまざまであるのに対し、負の異方性では、時間領域でバリスティック輸送から拡散輸送への移行が観測された。この挙動は、線形応答領域からの予想とは対照的であり、平衡から大きく外れた量子多体力学の理解に新たな疑問を提起するものである。

