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生化学:疎水性のラチェットが分子複合体を定着させる

Nature 588, 7838 doi: 10.1038/s41586-020-3021-2

ほとんどのタンパク質は、集合して多サブユニット複合体を形成する。このような複合体が進化の時間スケールにわたって持続する理由は、サブユニット間のアロステリック効果や機械的働きを行う能力といった、多量体化に依存する機能特性に対する自然選択の結果として説明されることが多い。しかし多くの複合体において、多量体化は既知のいかなる機能の遂行も可能にしてはいない。もう1つの説明は、多量体にとっては中立だが単量体では有害になるような置換が蓄積すれば、多量体が定着するだろうというものである。その場合、複合体形成自体は生物学的機能を高めはしなかったとしても、複合体形成前の状態への復帰は純化選択によって妨げられると考えられる。今回我々は、疎水性変異によるラチェットが分子複合体を組織的に定着させることを明らかにする。ステロイドホルモン受容体の進化について、祖先タンパク質の再構築と生化学アッセイを行うことで、何億年にもわたって保存されている古くからある疎水性界面が定着したのは、この界面自体には機能への寄与は認められないにしても、この界面を溶媒に露出させるとタンパク質の安定性が低下し、凝集の原因になるからであることが明らかになった。また、構造バイオインフォマティクスの手法を用いることにより、普遍的な変異の傾向が原動力となって多量体界面に埋め込まれた部位に疎水性の置換が蓄積し、単量体では許容し得ないレベルにまで達することが突き止められた。数百の多量体ファミリーのデータベースを見ると、ほとんどが長期にわたる疎水性定着のシグネチャーを示している。従って、多くのタンパク質複合体が持続してきたのは、その複合体が機能的には不必要な場合でも、ラチェットに似た単純な機構が働いて、それらを進化の長い時間にわたって定着させたためである可能性が高い。

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