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物性物理学:量子異常ホール絶縁体におけるチャーン数の調整
Nature 588, 7838 doi: 10.1038/s41586-020-3020-3
量子異常ホール(QAH)状態は、h/(Ce2)という量子化されたホール抵抗を有し、ゼロ磁場下で縦抵抗が消失する、二次元トポロジカル絶縁状態である(h:プランク定数、e:素電荷、C:チャーン数という整数)。QAH効果は、磁性トポロジカル絶縁体と魔法角ねじれ2層グラフェンで実現されている。しかし、ゼロ磁場でのQAH効果は、今のところC = 1についてしか実現されていない。今回我々は、分子線エピタキシー法を用いて磁性トポロジカル絶縁体層とドープされていないトポロジカル絶縁体層を交互に積層して作製した多層構造において、チャーン数を調整できる(最大でC = 5)十分に量子化されたQAH効果を実現した。こうしたQAH絶縁体のチャーン数は、多層構造におけるドープされていないトポロジカル絶縁体層の数によって決まる。さらに我々は、磁性トポロジカル絶縁体層の磁性ドーピング濃度か、内側の磁性トポロジカル絶縁体層の厚さのいずれかを変えることによって、所与の多層構造のチャーン数を調整できることを実証する。我々は、理論モデルを開発して今回の実験の観測結果を説明し、チャーン数が大きくて調整可能なQAH絶縁体の相図を確立した。こうした絶縁体の実現によって、エネルギー効率の良い電子デバイスにおける無散逸カイラルエッジ電流の応用が促進され、多チャネル量子計算や、より容量の大きいカイラル回路相互接続を開発する機会が開かれる。

