高分子化学:層状二次元分子織物の自己集合形成
Nature 588, 7838 doi: 10.1038/s41586-020-3019-9
織物は、織り上げられた繊維の層からなる材料で、日常生活において非常に重要な材料である。これまでに作られたナノスケールの織物の例としては、等方的な結晶性の共有結合性有機構造体があり、これらは硬いらせん状の糸が3つ全ての次元方向に織り合わさった構造を特徴とし、従来の織物に特徴的な柔軟性、薄さ、異方的な強度、多孔性を与える糸を織り上げた柔軟な二次元層ではない。また、超分子二次元カゴメ織りや、表面に担持された織り合わさった単層二次元ポリマーも報告されている。分子構成要素のボトムアップ式直接組み立てによる線状有機ポリマー鎖の二次元織りが何度か提案されてきたが、これまで実現されてはいない。今回我々は、陰イオンと金属イオンの鋳型を用いることによって、織られた分子「タイル」を敷き詰めて、脂肪族セグメントと芳香族セグメントが交互に並んだポリマー鎖が個々の層内に織り込まれた材料を形成できることを実証する。あらかじめ織られた格子をゆっくりと析出させて互いに結合させた後にイオン鋳型を除去すると、全てが有機物でできた分子材料が薄いシートの積層体やクラスターとして形成される。各シートの長さと幅は最大で数百マイクロメートルあるが、厚さはわずか約4 nmである。また、各シート内では、縦糸と横糸の単一ポリマー鎖が周期的な機械的絡み合いを通して会合を維持している。原子間力顕微鏡法と走査型電子顕微鏡法によって、クラスターが観察され、さらに敷き詰めと重合過程の間に積み重なったシートから脱金属後に滑ってはがれた個々の単離シートもときおり観察された。今回の層状二次元分子織物材料は、長距離秩序を持ち複屈折性で、剛性が線状の構成ポリマーの2倍であり、巨視的な織物のように明確な線に沿って剥がれたり裂けたりする。この材料はまた、ポリマーに担持された膜に組み込むと網の役割を果たし、小さなイオンを通過させるが大きなイオンの通過は減速させる。

