Article
細胞生物学:シナプス活性帯の組み立てに必要な足場分子の相分離
Nature 588, 7838 doi: 10.1038/s41586-020-2942-0
ニューロンの発生におけるシナプスの形成は、神経回路と神経系の樹立に不可欠である。全てのシナプス前部は、核となる「活性帯」構造を作り、この構造にイオンチャネルが密集し、ここでシナプス小胞が神経伝達物質を放出する。活性帯の分子構成の特徴は詳しく分かっているが、発生中に、どのようにして活性帯タンパク質同士が集合し、小胞放出に必要な装置が動員されるのかは不明であった。今回我々は、核となる活性帯の足場タンパク質であるSYD-2(別名liprin-α)とELKS-1が、シナプス発生の初期段階で相分離を起こし、その後成熟して固体構造になることを見いだした。我々は、この相分離のin vivoでの機能を、相分離活性を特異的に欠いたSYD-2とELKS-1の変異タンパク質を用いて直接検討した。これらの変異タンパク質は、線虫の一種Caenorhabditis elegansのシナプスに豊富に存在したままで、活性帯の組み立てとシナプス機能に異常を示した。これらの異常は、無関係なタンパク質由来の相分離モチーフを導入することで救済された。in vitroでは、SYD-2とELKS-1を含む液相の足場を再構築すると、下流の活性帯構成分子と結合してこれを取り込むことが分かった。我々は、SYD-2とELKS-1濃縮物の流動性が、活性帯構成分子の効率的な混合と取り込みに必須であることを見いだした。今回のデータは、発生中の足場分子の液相が、シナプスが安定した最終構造へと成熟する前のシナプス活性帯の組み立てに不可欠であることを明らかにしている。

