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生化学:KSRに結合したMEKでの薬剤トラメチニブの作用の構造基盤

Nature 588, 7838 doi: 10.1038/s41586-020-2760-4

MAPK/ERKキナーゼMEKは、頻繁に見られるがんのドライバーKRASとBRAFに共通するエフェクターで、ずっと以前からがんの薬剤標的として、そして最近では免疫療法や老化の薬剤標的として研究が続けられている。しかし多くのMEK阻害剤は、オンターゲット毒性と薬剤耐性のために使用に限界がある。従って、生理的複合体中でのMEKの構造と機能が分子レベルで解明できれば、より安全で効果の高い治療法の設計に役立つ枠組みとなると考えられる。今回我々は、臨床薬トラメチニブをはじめとするさまざまなMEK阻害剤の存在下で、足場タンパク質KSR(RASキナーゼ抑制因子)に結合したMEKのX線結晶構造を明らかにした。得られた構造から、トラメチニブがMEKの界面でKSRと直接結合するという予想外の結合様式が明らかになった。結合した複合体では、KSRがMEK阻害剤のプロトタイプ的なアロステリックポケットを変形させ、薬剤の滞留時間も含めて、結合や速度論的性質に影響を及ぼす。さらに、トラメチニブはKSR–MEKには結合するが、同類のRAF–MEK複合体の方は、これらのサブ複合体を区別する特徴であり、進化上保存されている界面残基を利用することによって破壊する。我々はこれらの知見に基づいて、界面の結合を強化することにより、MEK阻害に対する適応的な抵抗性を制限するトラメチグルーを作出した。これらの結果は、MEKのサブ複合体内の界面にあるポケットの可塑性を明らかにしており、RAS経路を標的とする次世代の薬剤の設計に影響を及ぼすだろう。

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