遺伝学:ゼブラフィッシュのシス調節エレメントと3Dゲノム構造のマップ
Nature 588, 7837 doi: 10.1038/s41586-020-2962-9
ゼブラフィッシュ(Danio rerio)はヒトの疾患や発生の研究に広く使われており、ゼブラフィッシュとヒトの間では、タンパク質をコードする遺伝子の約70%が保存されている。しかし、ゼブラフィッシュでの研究は、ゲノムの機能制御エレメントの注釈付けが少ないことで、制限されている。今回我々は、RNA塩基配列解読、ATAC-seq(assay for transposase-accessible chromatin using sequencing)、ChIP-Seq(chromatin immunoprecipitation with sequencing)、WGBS(whole-genome bisulfite sequencing)、Hi-C(chromosome conformation capture)実験を、最大11の成体組織と2つの胚組織について行い、ゼブラフィッシュの参考系統Tübingenのトランスクリプトーム、シス調節エレメント、ヘテロクロマチン、メチローム、3Dゲノム構成の包括的マップを作製した。ゼブラフィッシュ、ヒト、マウスの調節エレメントの比較によって、進化上保存されている調節配列と調節ネットワーク、および種特異的な調節配列と調節ネットワークが明らかになった。トポロジカルドメイン(TAD)の境界に進化的ブレイクポイントが多く見られ、これらはヒストンH3リシン4トリメチル化(H3K4me3)とCCCTC結合因子(CTCF)の強いシグナルと相関していた。ゼブラフィッシュの脳で単一細胞のATAC-seqを行ったところ、細胞タイプの異なる25のクラスターが認められた。我々は、ロングリードDNA塩基配列解読とHi-C法とを組み合わせることにより、性決定染色体4をde novo構築した。まとめると今回の研究により、脊椎動物ゲノムの機能の注釈付けや、3Dゲノム構成での進化的に保存されたエレメント研究のための、さらなるエピゲノミックなアンカーがもたらされた。

