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構造生物学:プロトン依存性塩素イオンチャネルの構造とpH感知機構
Nature 588, 7837 doi: 10.1038/s41586-020-2875-7
プロトン依存性塩素イオンチャネル(PAC)は広範な哺乳類細胞で働いており、酸が誘発する細胞死や組織損傷に関わっている。PACは最近、進化上保存された新規なタンパク質ファミリーの代表例であることが明らかになっている。今回我々は、ヒトPACについて、高いpHで静止している閉じた状態と低pHでプロトンに結合した非伝導状態という2つの状態のクライオ電子顕微鏡構造を示す。PACは三量体で、個々のサブユニットは2本のヘリックス(TM1とTM2)からなる膜貫通ドメイン(TMD)と細胞外ドメイン(ECD)で構成されている。pHが8から4に低下すると、ECD–TMD界面とTMDで顕著なコンホメーション変化が観察された。ECD–TMDの界面の再編成で特徴的なのはヒスチジン残基98の動きで、これは酸性化の後に静止状態の位置から離れ、約5 Å離れた酸性ポケットに挿入される。TMD内では、TM1が回転運動し、その結合相手が本来のTM2から近傍のTM2へと切り替わる。PACの陰イオン選択性を決めているのは、TM2上にあって正電荷を持つリシン残基319であり、リシン319をグルタミン酸残基に置換するとPACは陽イオン選択的チャネルに変わる。これらのデータからPACの分子レベルの構成の一端が明らかになり、プロトンに依存した活性化の機構を解明するための基盤が得られた。

