量子物理学:71サイトのボース・ハバード量子シミュレーターにおけるゲージ不変性の観測
Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2910-8
素粒子の現代的な記述は、素粒子物理学の標準模型で定式化されているように、ゲージ理論に基づいて構築されている。ゲージ理論では、局所対称性の制約によって物理学の基本法則が実現される。例えば量子電磁力学では、ガウスの法則によって荷電物質と電磁場の間に固有の局所的な関係が導入され、この関係によって、ゼロ質量の光子や長距離性のクーロンの法則などの多くの顕著な物理的性質が保護される。古典的なコンピューターを用いてゲージ理論を解くのは非常に困難な作業であり、このため、微視的な人工量子デバイスにおいてゲージ理論の力学をシミュレートする取り組みが促されてきた。これまでに達成されたのは、局所対称性を定義しない密度依存パイエルス相の実現や、有効モデルへのマッピングによる物質または電場のいずれかの積分消去で、それら以外の成果は非常に小さな系に限定されていた。しかし、本質的なゲージ対称性は実験的には観測されていない。今回我々は、拡張U(1)格子ゲージ理論の量子シミュレーションを行い、物質場とゲージ場からなる多体系のゲージ不変性を実験的に定量化したことを報告する。これらの場は、71サイトからなる光超格子内のボソン原子の無欠陥配列において実現された。我々は、モデルパラメーターが完全に調整可能であることを実証し、量子相転移全体を調べることによって物質–ゲージ相互作用を評価した。我々はまた、高忠実度の操作技術を用いて、相関のある原子の占有率から局所的にゲージ不変な状態の確率を抽出することで、ガウスの法則の破れの程度を測定した。今回の研究から、制御可能な大規模量子シミュレーターを用いて、基本粒子の相互作用におけるゲージ対称性を探る方法が得られる。

