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分子生物学:持続的な転写プログラムは遠隔記憶と関連する

Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2905-5

学習中や短期記憶における遺伝子発現の役割は広範に研究されてきたが、それに比べて生涯にわたって持続し得る遠隔記憶についてはよく分かっていない。今回我々は、長期の文脈恐怖記憶を理論的枠組みとして用い、内側前頭前野での遠隔記憶保存の基礎となる単一細胞遺伝子発現の全体像を調べた。その結果、恐怖学習後、多様なニューロン集団で、数週間にわたって継続する持続的な活動特異的転写変化が見つかった。可塑性を符号化する巨大な空間から、遠隔記憶の維持に重要な役割を果たしている可能性のある、膜融合関連の遺伝子が特定された。意外にも、アストロサイトとミクログリアも、遠隔記憶と関連する持続的遺伝子発現シグネチャーを獲得しており、それらが記憶回路に能動的に関与することが示唆された。遠隔記憶エングラムと関連した遺伝子発現プログラムの発見は、既存の脳分類アトラスに、活動依存的な細胞状態の重要な次元を追加し、遠隔記憶保存の捉えにくい機構を明らかにするものである。

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