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環境科学:ヨーロッパの大気汚染における粒子状物質の排出源と酸化能

Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2902-8

粒子状物質は、環境大気汚染の構成要素であり、全球的に年間数百万人の若年死と関連付けられている。粒子状物質がヒトの健康に及ぼす慢性的および急性的な影響の評価は、質量濃度に基づく傾向があり、粒子のサイズと組成も関与していると考えられている。酸化能は、粒子状物質の健康への急性的な影響を駆動している可能性がある多くの要因の1つであると示唆されているが、その関連性はまだよく分かっていない。酸化活性を示す粒子状物質の成分を調べた研究からは、相反する結果が得られている。そのため、酸化能濃度を制御している可能性のある粒子状物質排出源については、まだ多くのことが分かっていない。今回我々は、野外観測と大気質のモデル化を用いて、ヨーロッパにおける粒子状物質と酸化能の主要な一次排出源と二次排出源を定量化した。その結果、二次無機成分、地殻物質、生物起源の二次有機エアロゾルが、粒子状物質の質量濃度を制御していることが見いだされた。対照的に、酸化能濃度は人為起源の排出源のものであり、特に住宅のバイオマス燃焼による微細な二次有機エアロゾルや、車両の非排気排出による粗粒金属と主に関連していた。今回の結果は、粒子状物質の質量濃度の低減を目的とした緩和戦略のみでは、酸化能濃度が低減されない可能性があることを示唆している。酸化能が健康への大きな影響に関連し得るとすれば、粒子状物質の総質量ではなく粒子状物質の特定の排出源を制御する方がより有効である可能性がある。

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