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統計物理学:都市の成長方程式
Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2900-x
都市科学は、世界の主要な都市系において観察される規則性を理解し説明しようとする学問である。都市の人口進化のモデル化は、都市科学と全ての都市研究の中核を成している。定量的には、最も根本的な問題は、都市人口の階層的構成と巨大都市の統計的出現を理解することである。これは当初、ジップの法則と呼ばれる普遍原理によって記述されると考えられていたが、最近の経験的研究によって、このモデルの妥当性に疑問が投げ掛けられている。また、理論モデルは、都市と文明の比較的頻度の高い盛衰も説明できるものでなければならないが、多くの試みにもかかわらず、こうした根本的問題に対する納得のいく答えはまだ得られていない。今回我々は、最近のデータセット(カナダ、フランス、英国、米国に関するもの)の経験的解析によって構築された、都市の人口成長をモデル化する確率方程式について報告する。このモデルによって、まれだが規模の大きな都市間移動の衝撃(interurban migratory shock)がいかに都市成長を支配しているかが明らかになった。この方程式は、都市人口の分布に関する複雑な形状を予測するとともに、有限時間効果のためにジップの法則が一般的には当てはまらないことを示しており、これは都市の構成がより複雑であることを示唆している。この方程式はまた、都市階層における複数の時間的変動の存在も予測しており、この予測は観測結果と一致している。今回の結果は、複雑系の進化における、そしてより実務的なレベルでは都市計画における、まれな事象の重要性を浮き彫りにしている。

