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進化学:酵母の生きた祖先が明らかにするゲノム遺伝子移入の起源

Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2889-1

ゲノムの遺伝子移入は、動物界、植物界、菌界の全てにおいて進化を駆動する。遺伝子移入は、太古の遺伝子混合に始まり、その後一方の親種への戻し交雑が繰り返されることでもたらされてきた。しかし、酵母などの生殖的に隔離された種で遺伝子移入が生じる仕組みは明らかになっていない。今回我々は、現生する出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のAlpechin系統の起源となった祖先的な雑種酵母の、Saccharomyces paradoxusからの遺伝子移入物質を大量に保持したクローン子孫を発見した。我々は、このクローン子孫(以下「生きた祖先(living ancestor)」とする)が、出芽酵母とS. paradoxusの連続的なサブゲノムを伴う雑種第一代の祖先的なゲノム構造を保持していることを示す。祖先的な雑種第一代は、100回を超す有糸分裂組換え事象を介して壊滅的なゲノム不安定性を経ており、これは主にヘテロ接合性の喪失によって生じたホモ接合性のゲノム区画として現れている。これらのホモ接合性の塩基配列区画は、減数分裂組換えを回復させることで雑種の稔性を救済し、Alpechin系統に存在する遺伝子移入物質の直接の起源となっている。我々は、絶滅した段階を復元することによって遺伝子移入進化として妥当な経路を示すとともに、ゲノム不安定性によって雑種の生殖的隔離の克服が可能になり、遺伝子移入が生じたと提案する。

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