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免疫学:腸で教育されたIgA形質細胞は髄膜の静脈洞を防御する
Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2886-4
中枢神経系は歴史的に免疫特権部位と見なされてきたが、最近のデータでは、脳と脊髄を取り囲む膜である髄膜には、多様な免疫細胞集団が存在することが示されている。これまで、マクロファージやT細胞に注目した研究が行われてきたが、髄膜の体液性免疫に関する詳細な解析は行われてこなかった。今回我々は、マウスやヒトの髄膜には、恒常性状態において、IgAを分泌する形質細胞が存在していることを示す。これらの細胞は硬膜静脈洞に隣接した場所に存在しており、この領域は血流が遅く、血液媒介病原体の脳への侵入を許容する可能性のある小窓がある。静脈洞周囲IgA形質細胞は、加齢とともに、また腸管バリアの破壊後に増加した。逆に、これらの細胞は無菌マウスでは存在しないが、腸管に細菌を再定着させるとその存在が回復した。B細胞受容体の塩基配列解読から、髄膜のIgA+細胞は、腸管が起源であることが確認された。髄膜形質細胞の特異的な欠損やIgAの欠損によって、菌類の静脈投与後に静脈洞周囲領域で捕捉される菌類が減少し、脳内への拡散が増加した。この結果は、髄膜のIgAが、脆弱な静脈バリア表面での中枢神経系の防御に必須であることを示している。

