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生理学:腸ニューロンが繁殖中の母親の食物摂取を増加させる
Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2866-8
多くの動物種では繁殖が雌の食物摂取量の増加を引き起こすことから、食欲調節研究の生理学的に重要な理論的枠組みが得られる。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の腸ニューロンの多様性を調べることにより、性特異的な活性および繁殖状態に特異的な活性を持つ腸支配ニューロンが繁殖中の母親の食物摂取量増加の維持に重要な役割を果たしていることを明らかにする。これらのニューロンはステロイドホルモンと腸内分泌ホルモンによって機能的に再構築され、これが、交尾後の神経ペプチドの嗉嚢(胃に似た器官)の筋肉への放出につながる。神経ペプチドの放出によって嗉嚢拡張動態が変化し、その結果食物摂取が増加する。そして、交尾後の腸ニューロンの再構築を妨げると、繁殖中の摂食亢進と繁殖適応度の両方が低下する。従って、腸ニューロンの可塑性は、繁殖成功のカギとなる。これらの知見から、妊娠を持続させる正のエネルギーバランスを達成するための機構の1つが明らかになり、この機構の失調が不妊や体重増加の一因になっている可能性がある。

