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がん:骨髄性悪性腫瘍におけるクローン進化の単一細胞変異解析
Nature 587, 7834 doi: 10.1038/s41586-020-2864-x
急性骨髄性白血病(AML)などの骨髄性悪性腫瘍は、体細胞変異を獲得する造血幹・前駆細胞の増殖から生じる。細胞集団の分子プロファイリングでは、変異は段階的に獲得されることが示唆されている。つまり、バリアント対立遺伝子頻度が高い変異型遺伝子は白血病発生の初期に出現し、バリアント対立遺伝子頻度がより低い変異は後に獲得されると考えられている。細胞集団の塩基配列解読では、白血病の生物学的性質や予後についての情報を得ることはできるが、どの変異が同一クローンで生じたかを区別したり、クローンの複雑性を正確に測定したり、変異の順序を明確に明らかにしたりすることはできない。今回我々は、骨髄性悪性腫瘍のクローンの枠組みを明らかにするために、123人の患者に由来する146試料について単一細胞変異プロファイリングを行った。その結果、AMLでは少数のクローンが優勢を占めており、これらのクローンはエピジェネティックな調節因子に同時に生じる変異を頻繁に有していることが分かった。逆に、シグナル伝達遺伝子の変異は、異なるサブクローンで複数回生じることが多く、これはクローンの多様性の増加と一致している。我々は、各試料のクローンの軌跡をマッピングし、クローンの増殖と優勢性を相乗的に促進する変異の組み合わせを明らかにした。さらに我々は、タンパク質発現と変異解析を組み合わせて、体細胞の遺伝子型とクローン構造を免疫表現型とともにマッピングした。今回の知見から、骨髄の形質転換機序と、クローンの複雑性が疾患の進行とともに進化する仕組みについての手掛かりが得られた。

