免疫学:カスパーゼ-8によるN4BP1の切断を介した自然免疫シグナル伝達の統合
Nature 587, 7833 doi: 10.1038/s41586-020-2796-5
デス受容体であるFASやそのリガンドであるFASLの変異は、自己免疫性リンパ増殖症候群を引き起こすが、FASやFASLの下流の細胞死を仲介するカスパーゼ-8やそのアダプターであるFADDの変異は、自己免疫性リンパ増殖症候群に加え、重症な免疫不全を引き起こす。マウスモデルでは、FADD–カスパーゼ-8の炎症応答を促進する役割が確認されているが、免疫不全の根底にある機構はまだ明らかにされていない。今回我々は、NEDD4結合タンパク質1(N4BP1)が、カスパーゼ-8によって切断・不活化されるサイトカイン産生の抑制因子であることを明らかにする。マウスでN4BP1を欠失させると、Toll様受容体(TLR)1–TLR2ヘテロ二量体(以下、TLR1/2)、TLR7あるいはTLR9の刺激時に選択的なサイトカイン産生が増加したが、TLR3やTLR4の刺激時にはそうしたサイトカイン産生の増加は見られなかった。N4BP1はTRIFとカスパーゼ-8依存的に切断されるため、野生型マクロファージではN4BP1はTLR3やTLR4応答を抑制しなかった。特に、カスパーゼ-8欠損マクロファージでのTLR3やTLR4の刺激に応答するサイトカイン産生の低下は、N4BP1の共欠失によりその大部分が救済された。このように、カスパーゼ-8欠損マクロファージにおいて正常に機能するN4BP1が持続すると、ロバストなサイトカイン応答を誘導する能力が損なわれる。腫瘍壊死因子(TNF)もまた、TLR3やTLR4に対するアゴニストと同様に、カスパーゼ-8依存的なN4BP1の切断を誘導し、その結果、TRIF非依存的なTLRをライセンシングして、より高いレベルの炎症性サイトカインを産生した。まとめると我々の結果は、N4BP1がサイトカイン応答の強力な抑制因子であることを明らかにしており、カスパーゼ-8によるN4BP1の切断が炎症時のシグナルの統合点であることを示すとともに、FADDやカスパーゼ-8の変異によって引き起こされる免疫不全を説明している。

