構造生物学:ヒトのナトリウム漏洩チャネルNALCNの構造
Nature 587, 7833 doi: 10.1038/s41586-020-2570-8
継続的に脱分極しているナトリウム(Na+)漏洩チャネル電流は電気興奮性を増強する。ニューロンでの主なバックグラウンドNa+コンダクタンスに関与しているイオンチャネルは、NALCN(Na+ leak channel, non-selective)である。NALCNにより媒介される電流は、呼吸や運動、概日リズムと関連するニューロンの興奮性を調節している。NALCNの活性は厳密に調節されており、NALCNに生じた変異は重篤な神経疾患や早期死亡を引き起こす。ヒトでは、NALCNは「希少な」チャネルであって、チャネル組み立てやゲート開閉、イオン選択性、薬理学的性質の基本的情報が不明のままである。今回我々は、この重要な漏洩チャネルを調べ、独特な補助サブユニットであるFAM155A(family with sequence similarity 155 member A)と複合体を形成したNALCNの構造を決定した。FAM155Aは細胞外にドームを形成していて、これが神経毒による攻撃からイオン選択性フィルターを保護している。NALCNの薬理学的性質は、窓状の側方ポア(塞がれている)がある壁によって囲まれた中央の空洞によりさらに詳しく説明される。ポアに非対称的に結合している異例な形の電位センサードメインは、NALCN活性が調整される機構を示唆している。我々は、NALCN中にしっかりと閉じたポアゲートを見いだした。ここで見られる患者のミスセンス変異の大部分は機能獲得型の表現型を引き起こし、それらはS6ゲートと独特のπ-バルジに集中していた。今回の知見は、NALCNの生理学的性質のさらなる研究のための枠組みと、NALCNチャネロパチーなどの電気的不全の治療法開発の基盤をもたらすものだ。

