免疫学:マラリアでのRIFINによるLILRB1活性化の構造的基盤
Nature 587, 7833 doi: 10.1038/s41586-020-2530-3
プラスモジウム属(Plasmodium)のマラリアの原因となる生物種(マラリア原虫)は偏性細胞内寄生体であり、これらの寄生虫がヒトの血液中で複製することで疾患の症状が生じる。マラリア原虫は、免疫によって検出されるリスクがあるにもかかわらず、感染した赤血球の細胞表面に、宿主受容体に結合するタンパク質を輸送する。ヒトで最も致死性の高い型のマラリアを引き起こす熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)では、RIFINは赤血球に発現する表面タンパク質中で最も大きなファミリーを形成している。いくつかのRIFINは抑制性免疫受容体に結合する。このようなRIFINは抑制化受容体LAIR1の細胞外ドメインを含む特殊な抗体の標的となったり、あるいは抑制化受容体LILRB1のリガンドとして機能したりする。RIFINは、LILRB1の活性化とそのシグナル伝達を刺激し、これはヒトの免疫応答の減弱につながる可能性がある。今回我々は、RIFINがLILRB1を介したシグナル伝達を活性化する仕組みを理解するために、LILRB1に結合したRIFINの構造を決定した。その結果、RIFINは、LILRB1との結合様式において、LILRB1の天然の活性化リガンドであるMHCクラスIを模倣していることが分かった。RIFINの単一の変異によって、RIFINとLILRB1との複合体の形成が阻害される。調べた全てのRIFINで、単一の変異によってLILRB1との結合が阻害され、レポーターアッセイではLILRB1のシグナル伝達が消失した。抗体依存性細胞傷害によるナチュラルキラー(NK)細胞の活性化を模倣する支持脂質二重膜系では、RIFINとMHCの両方がNK細胞の免疫シナプスに誘導されて、NK細胞の活性化を低下させることがパーフォリンの誘導測定によって判明した。従って、LILRB1に結合するRIFINは、LILRB1の天然リガンドの結合様式を模倣し、NK細胞の機能を抑制している。

