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免疫学:COVID-19 RNAワクチンBNT162b1の成人を対象とした第I/II相試験

Nature 586, 7830 doi: 10.1038/s41586-020-2639-4

2020年3月、世界保健機関(WHO)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はパンデミック(世界的大流行)に至っていると宣言した。世界中で報告される症例数や死者数は急増しており、ワクチンが緊急に必要とされている。今回我々は、現在進行中の評価者盲検プラセボ対照用量漸増試験(ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04368728)から、安全性、忍容性、免疫原性に関する利用可能なデータを報告する。この試験では、無作為化された45人の健康な成人(18~55歳)に対して、10 μg、30 μgまたは100 μgのBNT162b1を2回接種した(2回目は初回接種の21日後)。BNT162b1は、脂質ナノ粒子に製剤化されたヌクレオシド修飾mRNAワクチンで、このRNAはSARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の三量体化受容体結合ドメイン(RBD)をコードしている。局所反応や全身事象は用量依存的であり、多くは軽度から中程度で、一過性のものであった。100 μgについては、反応原性の増加が見られ、30 μgの単回接種と比較して免疫原性に意味のある上昇が認められなかったため、2回目の接種は行わなかった。血清中のRBD結合IgG濃度とSARS-CoV-2中和抗体の力価は、用量レベルに伴って増加し、2回目の接種後にも増加した。中和抗体の幾何平均力価は、COVID-19回復期ヒト血清のパネルに比べて1.9~4.6倍に達した(これらの血清は、SARS-CoV-2 PCR陽性が確認されてから少なくとも14日以上たってから採取された)。これらの結果は、このmRNAワクチン候補のさらなる評価を支持するものとなる。

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