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免疫学:ChAdOx1 nCoV-19ワクチンはアカゲザルにおいてSARS-CoV-2肺炎を防ぐ

Nature 586, 7830 doi: 10.1038/s41586-020-2608-y

2019年12月に出現した重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を引き起こしている。ワクチンは極めて重要な対策の1つで、パンデミックの制御に緊急に必要とされている。今回我々は、アデノウイルスベクターベースのワクチンであるChAdOx1 nCoV-19(SARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードする)が、マウスで免疫原性を示し、ロバストな体液性応答および細胞性応答を引き起こすことを示す。この応答は主に1型ヘルパーT細胞を介して起こることが、IgGサブクラスのプロファイリングとサイトカインの発現により明らかになった。ChAdOx1 nCoV-19の接種(プライムのみの単回投与またはプライム・ブーストの2回投与)は、アカゲザルにおいて、1型と2型のヘルパーT細胞のバランスの取れた体液性応答と細胞性免疫応答を誘導した。ワクチン接種後にSARS-CoV-2チャレンジを行ったアカゲザルでは、対照個体と比べて、気管支肺胞洗浄液と下気道組織のウイルス量が顕著に減少しており、ワクチン接種したSARS-CoV-2感染個体での肺炎は観察されなかった。しかし、鼻からの排出については、SARS-CoV-2に感染したワクチン接種個体と対照個体の間で差は見られなかった。また、ワクチン接種したSARS-CoV-2感染個体において、ウイルスチャレンジ後に免疫亢進疾患が起きた証拠が見つからなかったことは重要である。症候性のPCR陽性COVID-19疾患に対するChAdOx1 nCoV-19の安全性、免疫原性、有効性のプロファイルは、ヒトでの無作為化対照臨床試験でこれから評価される予定である。

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