地球科学:クラトンのキールを形成した先カンブリア時代のプレートテクトニクス
Nature 586, 7829 doi: 10.1038/s41586-020-2806-7
大陸の古い中核部であるクラトン(安定陸塊)の下には、マントルキールが横たわっている。マントルキールは、メルトが枯渇し、力学的な抵抗力があり、浮力があってダイヤモンドを含む厚さが最大350 kmのマントル塊で、20億年以上にわたり、より高温で高密度の対流するマントルから孤立してきた。マントルキールが形成されたのは、初期地球(約35億〜15億年前の先カンブリア時代)のみであり、現代にこれと類似したものはない。マントルキールの多くは、メルトの枯渇度に応じて層状になっている。こうした層状のリソスフェアの起源はよく分かっておらず、初期地球で働いていた全球的なテクトニクスのモード(プリュームテクトニクスではなくプレートテクトニクス)を示している可能性がある。今回我々は、マントル温度が上昇していた(現在の値より150〜250°C高かった)時の海洋プレートの沈み込みとその後の島弧–大陸衝突のモデルを用いて、マントルキールの考えられる起源について調べた。その結果、太古代のプレートテクトニクスが始まった後、沈み込む海洋プレートの下にあった、高温で延性があり、浮力が正でメルトが枯渇したリソスフェア下のマントル層は、スラブと共には沈み込むことができなかったことが明らかになった。この移動するスラブによって、隣接する大陸領域の下に、粘性の高いクラトン規模のプロトキールが残された。このリソスフェア下の枯渇したマントルの厚さの見積もりから、クラトンのリソスフェア年代が統計的に最大であった主な時期に、この機構の効率が高かったことが示された。これらのプロトキールはその後伝導冷却され、ダイヤモンドの形成に適した、現代の温度の低いマントルキールが生み出されたと思われる。従って、先カンブリア時代の非常に枯渇したマントルと海洋プレートの沈み込みは、大陸下の厚い層状のリソスフェアの形成に不可欠であり、これが、その後のプレートテクトニクス過程においてリソスフェアの寿命を長くして残存を可能にしたと考えられる。

