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神経科学:扁桃体の抑制性ニューロンは情動記憶で翻訳を担う部位である
Nature 586, 7829 doi: 10.1038/s41586-020-2793-8
動物は、変化する環境で生き延びるために、危険を知らせる刺激を感知してそれに適切に応答する必要がある。生存にはまた、脅威の不在(安全)を予測させる刺激の下で、脅威反応を抑えることも必要である。動物が脅威を予測させる手掛かりや安全を示す手掛かりに対して防御反応を柔軟に使い分けることを学習する課題において、情動記憶の生体基質を理解することは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの記憶障害の治療法を開発する上で極めて重要である。扁桃体の中心外側核は、防御反応を媒介する神経回路中の重要なノード(結節点)であり、脅威記憶の処理と保持においてカギとなる脳領域である。今回我々は、マウスで、扁桃体中心外側核の抑制性ニューロンに交差的な化学遺伝学的戦略を適用し、翻訳開始因子であるeIF(eukaryotic initiation factor)4Eの枯渇とeIF2αのリン酸化(p-eIF2α)に感受性を示す、細胞タイプ特異的な複数の翻訳プログラムの阻害を行った。その結果、扁桃体中心外側核において、ソマトスタチンを発現する抑制性ニューロンでのde novo翻訳が条件脅威反応の長期保持に必要なのに対し、プロテインキナーゼCδを発現する抑制性ニューロンでのde novo翻訳は安全を示す手掛かりへの条件反応の抑制に必要なことが分かった。今回の結果は、長期記憶の固定において、扁桃体中心外側核の異なる抑制性ニューロン集団でde novoタンパク質合成が果たす役割について、洞察を与えるものである。

