微生物学:STINGによるサイクリックジヌクレオチド感知は細菌に起源がある
Nature 586, 7829 doi: 10.1038/s41586-020-2719-5
STING(stimulator of interferon genes)は、ヒト細胞の受容体で、細菌感染の際や、ウイルス感染および抗腫瘍免疫の際の内因性サイクリックGMP–AMPシグナル伝達において放出される外来のサイクリックジヌクレオチドを感知する。STINGは、他の既知のシグナル伝達タンパク質といかなる構造的相同性も共有していないため、機能解析の試みが制限され、哺乳類の自然免疫におけるサイクリックジヌクレオチドシグナル伝達の起源の説明の妨げとなっている。今回我々は、原核生物の防御アイランド(defence island)内にコードされる機能的なSTINGホモログに加え、シグナル活性化の保存された機構を明らかにする。細菌STINGの結晶構造から、STINGに隣接するcGAS/DncV様ヌクレオチジルトランスフェラーゼ(CD-NTアーゼ)酵素によって合成されるサイクリックdi-GMPに選択的に応答する、最小のホモ二量体の足場が明確になった。細菌のSTINGドメインは、サイクリックジヌクレオチドの認識とタンパク質フィラメントの形成を結び付けて、TIRエフェクタードメインのオリゴマー化と迅速なNAD+切断を駆動する。我々は、後生動物の自然免疫がSTINGを獲得した後の進化事象を再構築し、マガキ(Crassostrea gigas)由来の完全長TIR–STING融合体の構造を決定した。比較構造解析から、STINGのコアとなる足場に後生動物特異的な付加が起こることで、直接的なエフェクター機能から抗ウイルス性の転写調節への切り替えが可能になる仕組みが示された。まとめると我々の結果は、STING依存的なシグナル伝達の機構を説明しており、バクテリオファージに対する原核生物の防御において機能的なcGAS–STING経路が保存されていることを明らかにしている。

