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化学:化学合成と分離のための同心円状の液体反応装置

Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2768-9

近年、中間体を手作業で扱う必要のない多段階化学プロセスに対応できる系に関心が集まっている。こうした系は、一連のバッチ式反応装置またはフローケミストリー設計のいずれかに基づいており、どちらも設置と制御にかなりの工学的取り組みを要する。今回我々は、さまざまな反応ゾーンが自己組織化して幾何形状を形成し、この形状が一連のプロセス全体の進行を決定できる、平衡から外れた系を開発した。この系では、密度が異なる複数の(通常は約10、場合によっては20を超える)非混和性液体あるいは対になった非混和性液体が回転容器に収められており、これらの液体は容器内で界面張力よりも大きな遠心力を受ける。結果として、液体は組織化して同心円状の複数の層を形成し、その厚さは最も薄くて150 μm、理論的には数十マイクロメートルの薄さに達する。これらの層はロバストだが、回転の加速または減速によって内部混合が可能で、しかも各層は個別に操作できるため、回転中に層を追加したり、層からサンプリングしたりできるだけでなく、層全体を取り除くことも可能である。これらの特徴は概念実証実験において実際に組み合わせて用いられ、例えば、医薬品として関心の持たれている小分子の多段階合成、酸–塩基同時抽出、化学シャトルによって仲介される複雑混合物からの選択的分離が実証された。我々は、「壁のない」同心円状液体反応装置が、小規模から中規模のプロセス化学のツールボックスに新たに加わる有用なツールとなり得るとともに、より広い視野で捉えると、材料系や化学系を従来の静的な枠組みから回転参照系へと移すことの利点の例証であると提唱する。

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