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化学:酵素的アルダー-エン反応
Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2743-5
化学研究における現状の課題の1つに、複雑分子の反応の結果を選択する触媒の設計がある。化学分野では、有機触媒または遷移金属触媒に頼って、立体選択性、位置選択性、ペリ選択性(起こり得る複数のペリ環状反応の間の選択性)を制御している。一方、自然界では、こうしたタイプの選択性は、最近発見されたペリシクラーゼ(ペリ環状反応を触媒する酵素群)などのさまざまな酵素を用いて達成されている。これまでに特性評価された酵素的ペリ環状反応の大半は付加環化で、観察された選択性がどのようにして実現されるのかを合理的に説明することは困難だった。今回我々は、それぞれ異なる反応を触媒するペリシクラーゼの2つの相同な酵素群を発見したことについて報告する。一方は、我々の知る限り生物ではこれまで知られていなかったアルダー-エン反応を触媒し、もう一方は、立体選択的ヘテロ・ディールス・アルダー反応を触媒する。我々は、計算機研究の結果を指針にして、観察された反応性の違いを合理的に説明するとともに、アルダー-エン反応からヘテロ・ディールス・アルダー反応へ、またその逆へとペリ選択性を逆転させる変異酵素を設計した。in vitroでの生化学的特性評価、計算機研究、酵素共結晶構造、変異研究を組み合わせることによって、高い位置選択性とペリ選択性がほぼ同じ活性部位でどのように実現されるのかが例示された。

