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気候科学:グリーンランド氷床からの質量損失速度は今世紀に完新世の値を超える

Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2742-6

グリーンランド氷床(GIS)は、高い速度で質量を失っている。観測記録が本質的に短期的であることを考慮すると、この質量損失の傾向の歴史的重要性の評価は困難である。観測結果と古気候データセットが統合されている温室効果ガス濃度や全球気温の記録とは異なり、GISの質量変化の速度に関する同程度の長期記録は存在しない。今回我々は、過去1万2000年間の自然変動を背景にして、現在と将来のGISの質量損失速度を位置付けることにより、今世紀のGISからの質量損失は前例がないものであると明らかにする。我々は、氷床コアのデータによって絞り込まれた気候履歴のアンサンブルを用いて、高分解能の氷床モデルを改善した。今回シミュレートした地域はグリーンランド南西部をカバーしており、この地域の質量変化は表面の物質収支によって支配されている。シミュレーションで得られた結果は、GISの縁辺の歴史の独立した年代順配列とよく一致した。産業革命以前の最大の質量損失速度(1世紀当たり最大6兆トン)は前期完新世に生じ、これは1世紀当たり約6兆1000億トンという現在(2000〜2018年)の速度と同程度である。温室効果ガスの代表的濃度経路(RCP)シナリオのそれぞれ低排出(RCP2.6)シナリオと高排出(RCP8.5)シナリオに基づくGIS南西部からの将来の質量損失のシミュレーションでは、21世紀の質量損失が8.8〜35.9兆トンになると予測された。こうしたGISの質量損失速度は、過去1万2000年間の最大速度を上回っている。GIS南西部からの質量損失速度はGIS全体のものと線形に対応することから、今回の結果は、GISの質量損失速度が今世紀に完新世の速度を上回ることを高い確度で示している。

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