Article
神経科学:視線、誘意性および期待の間で共通するが分離可能な神経符号
Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2740-8
他者の視線の向きは、霊長類では顕著な社会的合図であり、コミュニケーションにおいて重要である。視線は脅威を知らせたり不安を誘発したりすることがあるが、視線が刺激値と神経回路を共有しているかどうかは、まだ不明である。特に、視線は誘意性を持つだけでなく、良いものにせよ悪いものにせよ、社会的な遭遇の結果を予測する因子にもなり得る。今回我々は、霊長類において視線と誘意性の神経符号は重複しており、結果に対するものと期待に対するものの2つの異なる機構が関与していることを示す。我々は、サルをヒト侵入者試験に参加させた。この試験では、ヒトの参加者は直接視線を合わせる(直視)か、視線をそらす(逸視)かのどちらかを行い、各試験ブロックの間に、嫌悪条件付けブロックと欲求条件付けブロックを交互に挟んだ。その結果、扁桃体の単一ニューロンが視線を符号化するのに対し、前帯状皮質のニューロンは社会的状況を符号化するが、視線を符号化しないことが明らかになった。我々は、直視と逸視への神経応答がそれぞれ嫌悪刺激と欲求刺激への応答に対応する、扁桃体中の共通するニューロン集団を特定した。さらに我々は、視線と無条件刺激に用いられる全般的な活動スキームと、視線と条件付け刺激に用いられる相関した選択性スキームという2つの神経機構を区別した。これらの知見から、社会的相互作用と誘意性の両方を計算する基礎となる神経機構の起源についての手掛かりが得られ、この結果は社会的不安や、不安と社会的相互作用障害の共存症の原因となる機構の解明に役立つ可能性がある。

