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材料科学:巨大な脂質ベシクルで大きな形状変形を生じさせる能動粒子
Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2730-x
生物細胞は、内部から細胞膜を成形することによって複雑な構造を作り出し、外部刺激を能動的に感知して応答したり、環境を調べたりしている。また、いくつかの病原性細菌の例では、局所的な力が内側から細胞膜を大きく変形させて、隣接する正常な哺乳類細胞に進入する様子も示されている。巨大な単層ベシクルは生物細胞を模倣する最小モデル系としてうまく用いられてきたが、局所的な能動的内力によって内側から脂質膜を大きく変形させ、形状を劇的に変化させることのできる最小系の実現はまだ困難である。本論文では、実験とシミュレーションを組み合わせて、巨大な単層ベシクル内に閉じ込められた自走粒子がどのようにして多様な非平衡形状と能動的な膜ゆらぎを誘起し得るかを示す。実験では共焦点顕微鏡を用い、自己泳動ヤヌス・マイクロスイマーによって加えられた局所的な力に対する膜の応答を調べた。また、膜の動的変化を定量化するために、動的三角形分割表面でモデル化された薄膜の殻に閉じ込められた能動ブラウン粒子のランジュバン動力学シミュレーションを行った。その結果、粒子充填が少ない場合と中程度の場合はテザー状の突起や高度に分岐した樹状構造の形成を伴う最も著しい形状変化が観測されたのに対し、粒子の体積分率が高い場合にはベシクル形状の全体的な変形が観測された。得られた状態図からは、局所的な内力によってさまざまな膜形状が生成される条件が予測される。こうしたひずんだベシクル形態の制御された実現によって、小型のソフトロボットや人工細胞などの人工システムの設計が改善される可能性がある。

