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微生物学:微生物相由来の代謝物は腸内のHDAC3活性を促進する
Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2604-2
哺乳類宿主と有益な片利共生微生物との共進化は、宿主と微生物相との共生関係の発達につながった。哺乳類細胞は、エピジェネティックな機構によって環境からのシグナルを統合できるが、これらの経路が共生細菌からの多様な合図によって微調整される仕組みについては、よく分かっていない。今回我々は、微生物相由来のイノシトールリン酸が腸内のヒストンデアセチラーゼ3(HDAC3)活性を調節する、高度に選択的な経路を明らかにする。腸内には酪酸のようなHDAC阻害因子が豊富に存在するにもかかわらず、豊かな微生物相を持つマウスの腸上皮細胞では無菌マウスに比べて、HDAC3活性が顕著に上昇していることが分かった。この違いは、大腸菌(Escherichia coli)を含む片利共生細菌が、フィチン酸の代謝とイノシトール1,4,5-トリスリン酸(InsP3)の産生を介してHDAC活性を刺激するという結果と整合する。腸のInsP3への曝露とフィチン酸の摂取はいずれも、腸の損傷後の回復を促進した。注目すべきことに、InsP3はヒト組織由来の腸オルガノイドの成長も促進し、HDAC3に依存した増殖を刺激して、酪酸による大腸の成長阻害を無効化した。以上の結果をまとめると、微生物相由来の代謝物であるInsP3が、哺乳類のヒストンデアセチラーゼを活性化して上皮の修復を促進することが明らかになった。このようにHDAC3は、異なる代謝物に対する収斂的なエピジェネティックセンサーであり、多様な微生物シグナルに対する宿主の応答を調整している。

