ゲノミクス:自閉症で伸長されているDNA縦列反復配列のゲノム規模での検出
Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2579-z
DNAの縦列反復配列は、構成単位(モチーフ)によってサイズや配列が異なる。これらの配列の伸長は、40以上の単一遺伝子疾患と関連付けられてきた。しかし、これらの伸長が複雑な遺伝学的性質を持つ疾患とどのように関連するのかはほとんど分かっておらず、それらの不均一性の程度についても不明な点が多い。今回我々は、自閉症スペクトラム障害(ASD)患者を持つ家系と多様な集団対照群に由来する1万7231例のゲノムにおいて、長さ2~20塩基対のモチーフを有する縦列反復配列のゲノム規模での特徴を調べた。その結果、これらのモチーフのサイズと配列に、著しい多型性が認められた。今回検出された縦列反復配列座位の多くは、細胞遺伝学的に脆弱な部位と相関していた。2588の座位について、集団対照群ではまれだった縦列反復配列の遺伝子に関連する伸長は、ASD患者では、ASDでないそのきょうだいと比べてはるかに多く見られた。こうした伸長は特に、エキソン内やスプライスジャンクション近傍に多く、神経系や心血管系、筋肉の発生に関わる遺伝子でよく見られた。まれな縦列反復配列の伸長を持つ割合は、ASDの小児患者では23.3%であるのに対し、ASD患者でない小児では20.7%で、これは、縦列反復配列の伸長によるASDリスクへの全体的な寄与が2.6%であることを示唆している。これらのまれな縦列反復配列の伸長には、神経筋疾患と関連付けられているDMPKやFXN、そしてこれまで関連が知られていなかったFGF14やCACNB1などの座位における、未報告のASD関連伸長が複数含まれる。まれな縦列反復配列の伸長はさらに、IQや適応能力の低さとも関連付けられた。今回の結果は、DNA縦列反復配列の伸長が、ASDの遺伝的病因と表現型の複雑性に大きく寄与していることを示している。

