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がん:腸マイクロバイオームは変異型p53を腫瘍抑制性から発がん性に切り替える

Nature 586, 7827 doi: 10.1038/s41586-020-2541-0

p53の体細胞変異は、p53の腫瘍抑制機能を不活性化し、発がん性の機能獲得変異特性をもたらすことが多く、この変異はがんで非常によく見られる。今回我々は、Csnk1a1の欠失やApcMinの変異により引き起こされるWNT駆動型腸がんのマウスモデルで、Trp53(マウスでp53をコードする遺伝子)に生じた機能獲得型ホットスポット変異の影響について調べた。このようなモデルに生じたがんは、p53の喪失により増殖が促進されることが知られている。我々は、変異型p53は腸の異なる部位で対照的な影響を持つことを見いだした。変異型p53は、遠位の腸では予想通りに発がん性の影響を及ぼしたが、近位の腸や腫瘍オルガノイドでは明らかな腫瘍抑制効果が見られた。腫瘍抑制状態では、変異型p53は、Csnk1a1欠損マウスやApcMin/+マウスでの異形成と腫瘍形成を排除し、これらのマウスから作製した腫瘍オルガノイドでは正常な増殖や分化を促進した。このような状態では、変異型p53は野生型p53よりも効果的に腫瘍形成を抑制した。機構的には、変異型p53の腫瘍抑制効果は、TCF4のクロマチンへの結合の阻害を介してWNT経路を破壊することにより引き起こされる。また、この腫瘍抑制効果は、腸マイクロバイオームにより完全に無効化された。さらに、腸内微生物相に由来する単一の代謝物(没食子酸)は、マイクロバイオームの効果全体を再現できた。腸を無菌化したp53変異マウスやp53変異オルガノイドに没食子酸を補充すると、TCF4とクロマチンの相互作用や、WNTの過剰活性化が回復し、変異マウスの腸全体やオルガノイドに悪性表現型が付与された。我々の研究はがん変異にはかなりの可塑性があることを実証し、その機能的結果の決定に微小環境が果たす役割を明確に示している。

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