化学:反応性タンパク質側鎖の光駆動翻訳後導入
Nature 585, 7826 doi: 10.1038/s41586-020-2733-7
翻訳後修飾(PTM)によって、自然界のタンパク質の構造と機能が大幅に拡張されている。合成タンパク質の官能基化戦略によって、PTMの模倣だけでなく、薬剤担送、追跡、撮像、パートナー架橋など、多様な潜在的機能を持つ非天然タンパク質バリアントの形成が可能になるものの、導入可能な官能基の範囲はまだ限られている。今回我々は、水中でのC–C結合の形成を可能にする炭素中心ラジカルの形成を通して、可視光駆動によってタンパク質中のデヒドロアラニン残基に側鎖を導入したことについて報告する。反応の酸化還元を制御することで、タンパク質の損傷を抑えつつ、優れた変換率での部位選択的な修飾が可能になった。ボロン酸カテコールエステル誘導体のin situ生成によってRH2C•ラジカルが生成され、このラジカルが、天然残基とPTMの天然型結合(β-CH2–γ-CH2結合)を形成する。一方、鉄(ii)によるピリジルスルホニル誘導体のin situ増強作用によってRF2C•ラジカルが生成され、このラジカルは、ジフルオロメチレン標識を有する等価なβ-CH2–γ-CF2結合を形成する。これらの反応は、化学的に耐性があり、さまざまな官能基(異なる50以上の残基/側鎖)を多様なタンパク質の足場や部位に導入する。また、ラジカル前駆体中に敏感な基が存在すれば化学選択的に反応を開始させられるため、これまで不適合だった側鎖の導入も可能になる。我々は、得られたタンパク質の機能と反応性を用いてラジカル前駆体を導入し、タンパク質上での均等なラジカル生成を行った。そして、天然型、非天然型、CF2標識した翻訳後修飾タンパク質基質を用いて、化学選択性と立体選択性の同時検知を通して酵素機能を調べ、多様な不均一共有結合形成活性を持つ(すなわち、一方では小分子とさまざまに反応し、もう一方では優れた模倣性を通してタンパク質標的と選択的に反応する)汎用的な「アルキル化剤タンパク質」を作り出した。こうした反応やタンパク質上の化学基が翻訳後に得られることは、タンパク質機能の解明と創出の両方に役立つ可能性がある。

