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生化学:エーテル脂質の可塑性はフェロトーシスの感受性と回避を促進する

Nature 585, 7826 doi: 10.1038/s41586-020-2732-8

フェロトーシスは鉄依存的で非アポトーシス性の細胞死過程で、さまざまな変性疾患に関与し、一部のがんでは標的化可能な感受性の1つとなっている。フェロトーシス感受性の細胞状態は、特定の細胞系譜から生じた細胞にすでに存在していることもあれば、細胞状態の移行中に獲得されることもある。しかし、フェロトーシスに対する感受性が動的に調節される仕組みは、正確にはまだほとんど分かっていない。今回我々は、CRISPR–Cas9によるゲノム規模でのサプレッサースクリーニングを行い、酸化を担う細胞小器官であるペルオキシソームが、ヒトの腎臓がんや卵巣がんの細胞におけるフェロトーシス感受性に関与する非常に重要な因子であることを明らかにする。我々はリピドミクスプロファイリングを用いて、ペルオキシソームが、多価不飽和エーテルリン脂質(PUFA-ePL)を合成することでフェロトーシスに関与していることを示す。PUFA-ePLは脂質過酸化の基質として働いて、これがフェロトーシスの誘導につながる。マウスでは、初めはフェロトーシスに感受性を持っていたがん細胞が、in vivoでフェロトーシス抵抗性状態に転換することがあり、これはPUFA-ePLの著しい下方調節と関連付けられている。さらに、PUFA-ePLのフェロトーシス促進性の役割は、腫瘍細胞以外にニューロンや心筋など他の細胞タイプにも拡張され得ることが分かった。以上より我々の研究は、フェロトーシスに対する感受性とフェロトーシスからの回避の駆動における、ペルオキシソーム–エーテルリン脂質軸の役割を明らかにしており、PUFA-ePLが細胞状態の移行中に動的に調節される独特な機能的脂質クラスであることをはっきりと示し、フェロトーシスが関与する疾患の治療介入のための複数の調節ノードを示唆している。

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