Review
がん:大腸がんにおける宿主–微生物相間の不適応
Nature 585, 7826 doi: 10.1038/s41586-020-2729-3
大腸がん(CRC)は、異質性の高い腸上皮の疾患で、変異の蓄積と免疫反応の調節異常を特徴とする。疾患リスクの最大90%は食餌などの環境要因に起因すると考えられており、これは大腸がんに関連した「発がん性」の微生物相に関する報告が増えていることと整合する。こうしたディスバイオーシスが疾患の一因であるのか、単なるバイスタンダー効果にすぎないのかは分かっていない。因果関係を証明するには、具体的にどのタクソンや代謝物が大腸がんの生物学的特性を駆動するかを解明し、その根底にある機構を十分に明らかにする必要がある。本総説では、これまでに報告された大腸がんにおける宿主–微生物相間相互作用について、特に、腸バリアの破壊、遺伝毒性、有害な炎症と関連付けられている機構に焦点を合わせて考察する。さらに我々は、この分野における未知の事象や未解決の課題、また、最先端の技術的進歩がこれらの課題の克服にいかに役立ち得るかについて解説する。大腸がんに関連した複雑な微生物相についてのより詳細な機構的手掛かりが得られれば、臨床的利益のために利用できる道筋が明らかになる可能性がある。

