分子生物学:DNA切断の架橋はPARP2–HPF1を活性化してクロマチンを修飾する
Nature 585, 7826 doi: 10.1038/s41586-020-2725-7
DNA鎖が切断されると、タンパク質PARP1とそのパラログPARP2が動員され、ヒストンなどの基質がモノADPリボースやポリADPリボース(PAR)の付加を介して修飾される。DNA損傷応答では、この翻訳後修飾は主にセリン残基で起こり、PARP1やPARP2のアミノ酸特異性をアスパラギン酸もしくはグルタミン酸からセリンへと切り替える補助因子であるHPF1が必要とされる。ポリADPリボシル化(PARylation)は、続いて起こるクロマチン脱凝縮に重要で、DNA切断部位へ下流のシグナル伝達や修復因子を動員するための係留部位を作り出す。今回我々は、PARP酵素がクロマチン中のDNA切断部位を認識する分子機構を解明するために、ヌクレオソームに結合したヒトPARP2–HPF1のクライオ電子顕微鏡構造を決定した。これにより、PARP2–HPF1が2つのヌクレオソームを架橋し、切断されたDNAが連結に適した位置に来るように並べられることが示され、DNA二本鎖切断修復の最初の段階が明らかになった。架橋によってPARP2中で構造変化が誘導され、これがDNA切断を認識したことを触媒ドメインに伝達し、触媒ドメインがHPF1の結合とPARP2活性化をライセンス化する。我々のデータは、NAD+と基質を交換するためにさまざまなコンホメーション状態を経る、活発なPARP2サイクルの存在を示唆しており、これがPARP酵素がクロマチンと結合したままで連続的に作用することを可能としているのかもしれない。我々が明らかにしたPARP活性化過程とPARP触媒サイクルは、PARP阻害剤への抵抗性の機構を説明でき、がん治療のためのより良い阻害剤の開発を助けるだろう。

