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細胞シグナル伝達:基質特異的なmTORC1経路がバート・ホッグ・デュベ症候群を引き起こす

Nature 585, 7826 doi: 10.1038/s41586-020-2444-0

mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)は代謝の重要なハブの1つで、そのキナーゼ活性を複数の基質に作用させることによって、環境からの合図に対する細胞の応答を制御している。しかし、mTORC1が特定の基質を弁別的にリン酸化することで多様な刺激に対応しているのかどうかは、よく分かっていない。今回我々は、リソソームのバイオジェネシスとオートファジーのマスター調節因子である転写因子EB(TFEB)が、Rag GTPアーゼが関与する基質特異的機構を介してmTORC1によってリン酸化されることを明らかにする。この機構のために、TFEBのリン酸化は、S6Kや4E-BP1といった他のmTORC1基質とは異なって、GTPアーゼであるRagCとRagDのアミノ酸を介した活性化に厳密に依存しているが、増殖因子によって誘発されるRHEB活性には影響されない。この機構はバート・ホッグ・デュベ症候群で重要な役割を果たしている。この疾患は、RagCとRagDの活性化因子であるfolliculin(FLCN)に生じた変異が原因で、皮膚の良性腫瘍、肺と腎臓の嚢胞、腎細胞がんなどを特徴とする。バート・ホッグ・デュベ症候群のマウスモデルでは、TFEBの構成的な活性化が腎臓の異常やmTORC1活性の異常な亢進の主な駆動要因となっていることが分かった。そこで、このようなマウスの腎臓でTFEBを欠失させたところ、疾患表現型や関連死が完全に解消し、mTORC1の活性も正常化した。これらの知見によって、mTORC1基質の弁別的リン酸化を可能にする機構が突き止められた。この機構の調節異常は、腎嚢胞や腎臓がんにつながる。

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