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量子物理学:超伝導キュービットのコヒーレンスに対する電離放射線の影響
Nature 584, 7822 doi: 10.1038/s41586-020-2619-8
量子ビット(キュービット)を利用する技術には、長いコヒーレンス時間と忠実度の高い操作が必要である。超伝導キュービットは、そうした目的を実現するための主要なプラットフォームの1つである。しかし、超伝導キュービットのコヒーレンスは、電子クーパー対の破壊の影響を受ける。実験的に観測された、準粒子と見なされる破壊されたクーパー対の密度は、超伝導のバーティーン・クーパー・シュリーファー理論によって平衡状態で予測される値より数桁高い。以前の研究では、赤外光子がこの準粒子密度を大幅に高めることが示されているが、最もよく隔離された系でさえ準粒子密度は予想よりはまだはるかに高く、別の生成機構が存在すると示唆されている。今回我々は、環境中の放射性物質からの電離放射線と宇宙線が、観測されたこの差に寄与していることを示す証拠を提示する。電離放射線の効果によって準粒子密度が上昇し、この密度上昇によって、今回測定された種類の超伝導キュービットのコヒーレンス時間が最終的に数ミリ秒に制限されると我々は予想する。さらに我々は、放射線遮蔽によって電離放射線フラックスが低減され、それによってエネルギー緩和時間が長くなることを実証する。現在のキュービットにとって小さな効果ではあるが、電離放射線の影響を低減あるいは緩和することは、フォールトトレラントな超伝導量子コンピューターの実現に極めて重要になるだろう。

