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細胞生物学:細胞外マトリックスの粘弾性が細胞の挙動に及ぼす影響
Nature 584, 7822 doi: 10.1038/s41586-020-2612-2
過去20年間に行われた多くの研究によって、細胞外マトリックス(ECM)の弾性(または剛性)が、細胞の伸展、成長、増殖、移動、分化、オルガノイド形成といった基本的な細胞過程に影響を与えることが実証されてきた。本論文では、組織とECMの複雑な機械的挙動について総説し、ECMの粘弾性が細胞に及ぼす影響を解明した最近の研究について考察するとともに、粘弾性生体材料の再生医療における潜在的用途について述べる。剛性の役割の評価には、線形弾性を持つポリアクリルアミドヒドロゲルやポリジメチルシロキサン(PDMS)のエストラマーをECMタンパク質で被覆したものが広く用いられており、こうした実験の結果は多くの場合、in vivoで細胞が置かれている機械的環境の影響を再現すると仮定されている。しかし、組織やECMは線形弾性材料ではなく、粘弾性(荷重や変形に対する時間依存的な応答)に加えて、機械的可塑性や非線形弾性といった、はるかに複雑な機械的挙動を示す。最近の研究では、マトリックスの粘弾性が、これらの同じ基本的な細胞過程を調節し、二次元および三次元の培養微小環境において弾性ヒドロゲルでは観察されない挙動を促進できることが示されている。これらの知見によって、細胞とマトリックスの間の複数の相互作用、そしてそうした相互作用が細胞内の複数の機械刺激感受性分子経路をさまざまに調節する仕組みについての洞察がもたらされた。さらにこれらの結果は、in vitro組織モデルや再生医療での応用のために組織とECMの力学を適合させることを目標とした、次世代の生体材料開発に対して設計ガイドラインを示唆するものである。

