健康科学:FLT3の終止変異はFLT3リガンドレベルと自己免疫性甲状腺疾患リスクを高める
Nature 584, 7822 doi: 10.1038/s41586-020-2436-0
自己免疫性甲状腺疾患は、最もありふれた自己免疫疾患であり、遺伝性が高い。今回我々は、アイスランドと英国バイオバンクの3万234症例と72万5172例の対照群についてゲノム規模関連研究を行い、93の座位で99の塩基配列バリアント(うち84は未報告)を見いだした。FLT3の低頻度(1.36%)のイントロンバリアント(rs76428106-C)は、自己免疫性甲状腺疾患のリスクに最も大きい影響を及ぼす[オッズ比(OR)= 1.46、P = 2.37 × 10−24]。rs76428106-Cはまた、全身性エリテマトーデス(OR = 1.90、P = 6.46 × 10−4)、リウマチ因子および/あるいは抗CCP陽性関節リウマチ(OR = 1.41、P = 4.31 × 10−4)、セリアック病(OR = 1.62、P = 1.20 × 10−4)とも関連を示した。FLT3は、造血前駆細胞と樹状細胞を調節する受容体であるfms関連チロシンキナーゼ3をコードする。RNA塩基配列解読から、rs76428106-Cが隠れたスプライス部位を生じさせることが明らかになり、これによって、チロシンキナーゼドメインを欠いた短縮型タンパク質をコードすると予測されている転写産物の30%で終止コドンが導入される。rs76428106-Cが1コピーあると、血漿中のFTL3リガンドレベルが2倍になる。FLT3の活性型体細胞変異は、予後不良の急性骨髄性白血病と関連付けられており、rs76428106-Cも急性骨髄性白血病のリスクを高める(OR = 1.90、P = 5.40 × 10−3)。従って、FLT3の機能喪失と予測される生殖細胞系列変異は、完全長FLT3の減少を引き起こすが、それに伴ってリガンドレベルの補償的増加が起こるため、機能獲得変異と同様に疾患リスクが上昇する。

