量子物理学:発振器のグリッド状態で符号化されたキュービットの量子誤り訂正
Nature 584, 7821 doi: 10.1038/s41586-020-2603-3
有用なタスクにおいて、量子コンピューターが古典コンピューターよりも優れた性能を実現するためには、量子ビット(キュービット)に対する論理演算の精度を向上させる必要がある。これを実現する方法の1つに量子誤り訂正(QEC)があり、これは基礎となるシステムの雑音によって論理誤りが生じるのを防ぐ。この手法は、雑音が局所的であること、すなわち物理システムの異なる部分に対して雑音が協調的に作用することはない、とする合理的な仮定に基づいている。そのため、論理キュービットが非局所的に符号化されていれば、我々は、雑音に誘起された発展が符号化された情報を破壊する前に、この発展を有限時間で検出して補正することができる。2001年にGottesmanとKitaevとPreskill(GKP)は、ハードウエア効率の良いそうした非局所キュービットの例として、単一発振器のグリッド状態を形成する、位置固有状態の重ね合わせを提案した。しかし、符号化された情報を保存しながら、発振器の雑音に誘起されたこの発展を明らかにする測定を実現するのは、実験的に困難であることが示されており、これまで実現が報告された唯一の例は、QECとは両立しない後選択によるものであった。今回我々は、発振器の役割を持つ超伝導マイクロ波共振器を用いて実現される、非破壊測定を組み込んだフィードバックプロトコルを通して、正方GKP符号状態と六方GKP符号状態を実験的に作製した。我々は、全ての論理誤りが抑制された、符号化されたキュービットのQECを実証する。その結果は、測定された実験の不完全性に基づく理論的推定と定量的に一致した。今回のプロトコルは、他の連続変数系にも適用でき、以前のQEC実装とは対照的に、さまざまな雑音過程から生じる全ての論理誤りを低減して、フォールトトレラントな量子計算を促進できる。

