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天文学:銀河系中心核の風に存在する低温ガス

Nature 584, 7821 doi: 10.1038/s41586-020-2595-z

銀河系の中心部には、銀河系の内部領域に強く影響を及ぼしてきたいくつかの高エネルギー過程が存在する。銀河系中心は電波源であるいて座A*の位置と一致し、そこにある超大質量ブラックホールから生じる活動と、内側の分子リングからの星のフィードバックによって、物質とエネルギーが円盤から銀河風の形で放出される。このアウトフローの内部には、複数の相のガスが観測されており、それらのガスには、高温の高電離ガス(温度が約106 K)、温かい電離ガス(104〜105 K)、低温の原子ガス(103〜104 K)が含まれる。しかしこれまで、低温の高密度分子相(10〜100 K)の存在を示す証拠は見つかっていない。本論文では、銀河系中心部からの分子ガスのアウトフローを観測したことについて報告する。この低温の物質は、中心核からの風の中を移動している水素原子の雲と関連している。約1パーセクのスケールで解像された、この分子ガスの形状と運動学は、こうした分子雲がより温かい媒質と混合しており、場合によっては分裂していることを示唆している。このデータからはまた、分子ガスのアウトフローの質量は無視できず、これが銀河系中心領域における星形成率に影響を及ぼし得ることも示唆された。いて座A*の現在の活動レベルも、銀河系内部における星形成も、この低温で高密度かつ高速度のガスの現実的な生成源とは考えられないため、このガス物質の存在は説明がつかない。

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