Article

コロナウイルス:OpenSAFELYを用いたCOVID-19関連死に関連する因子の解明

Nature 584, 7821 doi: 10.1038/s41586-020-2521-4

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界の死亡率に急激な影響を及ぼしている。重篤な転帰をたどるリスクが最も高いのはどのような人かを解明することが、前例がないほど緊急に求められているが、これには大量のデータセットを適時に解析するための新たな手法が必要となる。我々は、英国国民保健サービス(NHS)イングランドのために、イングランドの全患者の40%以上を網羅し、一次医療の電子健康記録を扱う大手業者が所有する既存のデータセンター内に患者のデータを保管する、OpenSAFELYという安全な健康データ解析プラットフォームを構築した。今回我々はOpenSAFELYを用いて、COVID-19関連死に関連するさまざまな因子を調べた。成人1727万8392人の一次医療記録が、匿名化された上で、1万926例のCOVID-19関連死と結び付けられた。COVID-19関連死は、男性であること[ハザード比(HR)1.59(95%信頼区間1.53〜1.65)]、年齢と剥奪レベルの高さ(共にリスクが急増)、そして糖尿病や重度の喘息、他の多様な内科的疾患と関連付けられた。白人に比べると、黒人と南アジア人は、他の要因を補正した後でもリスクが高かった[黒人はHR 1.48(95%信頼区間1.29〜1.69)、南アジア人はHR 1.45(同1.32〜1.58)]。今回の解析は、COVID-19関連死に関連する臨床因子を幅広く定量化した、これまでで最大規模のコホート研究である。OpenSAFELYには患者のデータが次々に追加されており、我々は今後、解析結果を定期的に更新・拡張する予定である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度