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コロナウイルス:イタリアのヴォー自治体におけるSARS-CoV-2アウトブレイクの抑制

Nature 584, 7821 doi: 10.1038/s41586-020-2488-1

2020年2月21日、イタリアのパドバ市近郊の小さな町であるヴォー自治体の住民の1人が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染による肺炎で死亡した。これは、中国湖北省武漢市でSARS-CoV-2が検出されて以降、イタリアで最初に検出された、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連死の例である。地方当局はその対応として、この自治体全体で14日間のロックダウンを実施した。今回我々は、2回の連続した時点で、ヴォーの人口の85.9%と71.5%について、人口統計学、臨床所見、入院、接触ネットワーク、鼻咽頭スワブ検査でのSARS-CoV-2感染の有無に関する情報を収集した。町のロックダウンが始まった頃に行われた最初の調査からは、有病率は2.6%[95%信頼区間(CI)2.1~3.3%]だったことが分かった。ロックダウン終了時に行われた2回目の調査では、有病率は1.2%(95%CI 0.8~1.8%)だった。特に、2回の調査で検出されたSARS-CoV-2感染確定例の42.5%(95%CI 31.5~54.6%)が無症状だった(つまり、スワブ検査時に症状がなく、その後も発症が見られなかった)ことは重要である。発症間隔の平均は7.2日だった(95%CI 5.9~9.6日)。症候性感染と無症候性感染のウイルス量に統計的有意差は見られなかった(ウィルコクソン・マン・ホイットニー正確確率検定で、E遺伝子とRdRp遺伝子に対してそれぞれP = 0.62と0.74)。この研究は、SARS-CoV-2の無症候性感染の頻度およびその感染力(ウイルス量によって判断)を明らかにしており、伝播動態と、実行された抑制対策の有効性に関する手掛かりを提供するものである。

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