Article

遺伝学:日本における加齢に関連する造血クローン間の染色体変化

Nature 584, 7819 doi: 10.1038/s41586-020-2426-2

発がんや加齢の生物学的性質が、ヒト集団を区別する要因によってどの程度形作られているかは分かっていない。変異を獲得した造血クローンは加齢に伴って増え、これが血液がんにつながることがある。今回我々は、バイオバンク・ジャパンのコホートの日本人参加者17万9417人において検出された3万3250の常染色体のモザイク状の染色体変化と、それらの英国バイオバンクの類似データとの比較に基づき、造血系細胞におけるゲノム変異とクローン選択の共通のパターンと集団特異的パターンについて報告する。長寿の日本人集団では、モザイク染色体変化が90歳以上の人の35.0%以上(標準誤差1.4%)で検出され、これは、こうしたクローンの存在が加齢とともに必然になる傾向を示唆している。日本人とヨーロッパ人では、それぞれの造血クローンのゲノムで変異が存在する位置に重要な差異があることが分かった。これらの差異から、各集団における慢性リンパ球性白血病(ヨーロッパ人により多く見られる)とT細胞性白血病(日本人により多く見られる)の相対的比率が予測された。慢性リンパ球性白血病の3種類の変異前駆体(トリソミー12、染色体13qの喪失、コピー数変化を伴わないヘテロ接合性の13qの喪失)を持つ割合は、日本人ではヨーロッパ人の6分の1〜2分の1であることから、これら2つの集団では、クローンにかかる選択圧が、臨床的に明らかな慢性リンパ球性白血病を発症するはるか前から異なっていると示唆される。日本人集団と英国人集団では、B細胞系譜およびT細胞系譜から生じるクローンの割合も非常に異なっており、この差異からは、各集団におけるB細胞がんおよびT細胞がんの相対的比率が予測された。我々は、遺伝性リスク対立遺伝子の重複あるいは除去を引き起こすモザイク染色体変化の素因となるバリアントを受け継いでいる、これまでに報告されていない6座位を特定した。これらには、NBNMRE11CTU2での効果の大きいまれなバリアント(オッズ比28~91)が含まれる。我々は、クローンにかかる選択圧は、ヒト集団に特異的な要因によって調節されると考える。従って、世界中の集団について、クローン選択やがんについてのさらなるゲノム特性解析を行う必要がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度