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コロナウイルス:ヒトACE2トランスジェニックマウスでのSARS-CoV-2の病原性

Nature 583, 7818 doi: 10.1038/s41586-020-2312-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病因であり、COVID-19は公衆衛生上の緊急事態となって国際的に懸念されている。アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)の細胞内侵入に関わる受容体である。今回我々は、ヒトACE2を発現するトランスジェニックマウス(以下hACE2マウスとする)にSARS-CoV-2を感染させ、このウイルスの病原性について調べた。その結果、SARS-CoV-2に感染したhACE2マウスでは、体重減少に加えて、肺でのウイルス複製が観察された。典型的な組織病理学的特徴は間質性肺炎であり、これには相当数のマクロファージとリンパ球の肺胞間質への浸潤、および肺胞内腔でのマクロファージ集積が伴っていた。また、気管支上皮細胞やマクロファージ、肺胞上皮ではウイルス抗原が認められた。これらの現象は、SARS-CoV-2に感染した野生型マウスでは見られなかった。このように我々は、hACE2マウスでSARS-CoV2の病原性を確認した。SARS-CoV-2感染のこのマウスモデルは、抗ウイルス薬やワクチンの評価に役立つだけでなく、COVID-19の病因の解明にも有用となるだろう。

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