細胞シグナル伝達:植物ホルモンのタンパク質ネットワークによる広範なシグナルの統合
Nature 583, 7815 doi: 10.1038/s41586-020-2460-0
植物ホルモンは、環境からの合図に対する応答を発生プログラムと協調させる働きをしており、ストレスからの回復力や作物収量の基礎となっている。植物ホルモンの作用の基盤となる中心的なシグナル伝達経路は、遺伝的スクリーニングや仮説に基づく手法で詳しく解明されてきており、一部の経路のインタラクトーム研究によってさらに広範な理解が得られている。しかし、異なる経路からの情報がどのように統合されるのかという重要な疑問は、まだ解決されていない。遺伝学的には、大半の表現型は数種類のホルモンによって調節されているように見えるが、転写プロファイリングからは、ホルモンは主として排他的な転写プログラムの引き金となることが示唆されている。そこで我々は、植物ホルモンのシグナルの統合には、タンパク質–タンパク質相互作用が重要な役割を担っているとの仮説を立てた。今回我々は、実験に基づいて、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の植物ホルモンシグナル伝達ネットワーク(2000を超すタンパク質–タンパク質間の二体相互作用からなる)のシステムレベルの地図を作製した。この高度に相互接続されたネットワークにおいて、複数の経路集団と、クロストークが起こる場所である可能性のある経路の接点が新たに数百突き止められた。7つのホルモン経路で候補となるタンパク質の機能を検証したところ、候補となる相互作用の84%で、検証したタンパク質の74%に新たな機能が見つかり、シグナル伝達タンパク質の大多数が複数の経路で多面的に機能していることが明らかになった。さらに、ホルモン受容体の主として小分子依存性の相互作用も数百見つかった。以前の報告との比較から、非カノニカルで非転写介在型の受容体シグナル伝達が、これまで認識されていたよりもはるかに一般的であることが示唆される。

